2015年4月8日水曜日

狂犬病予防の事1


毎年この時期になると、犬の飼い主には狂犬病予防法にもとずく予防接種を、各地域で行われる集合注射会場や動物病院のどちらかで行なわなければなりません。


でも、狂犬病が発生したなんて聞いた事も見た事も無い人がほとんどの日本。
Net上では、『必要のない悪法だ』などとされる意見も見られますが、果たしてそうでしょうか。確かに、ワクチンには一定の確率で副作用が発生します。そのほとんどが射たれた側の免疫反応に因るものです。ですからワクチンというものの性質上、確率を下げる事は出来ても無くす事は出来ません。

では何故そんな危険な事を、狂犬病の無い日本でしないとならないのか?そこをお話しします。

まずワクチンについて。
ワクチンに副作用が有る事を全く知らない人はまずいないでしょう。どのようなものかは知らなくても、何となく解っている位の人がほとんどではないでしょうか。特殊なものは除いて、人のワクチンに見られる有害事象と何ら変わりません。特に不活化ワクチンという平たくいえばウイルスの死体で出来たタイプは、ウイルス特有の症状が出てしまうなどと言う様な事は有りません。狂犬病ワクチンはこのタイプです。

そして狂犬病について。
簡単にいうとほ乳類全般とコウモリが感染し、媒介します。神経を伝い脳に感染すると100%死亡するウイルス感染症です。
日本では、1958年以降国内での発生は無く、有るのは海外渡航者が渡航先で感染し、帰国後に発症し死亡したものだけです。それ以前には日本も狂犬病常在国で、当然感染に因る死者も居たと聞いています。私も見た事の無い世代です。
これは、国を挙げての狂犬病撲滅に取り組みそれに挑んだ先人が居たからで、自然に消えて無くなった訳では有りません。また、これを短期間で成功させた要因の一つに、日本の国土は、大陸と海で隔たれた島国であるからだといわれています。しかし一昨年、同じ島国であり、54年間狂犬病の発生の無かった台湾で、野生動物のイタチアナグマに感染が流行している事が判明しました。なんと台湾政府は、犬、猫、野生動物を対象とした狂犬病検査が継続されていた事に因るものだそうです。現在、日本では死亡した全ての動物を検査する様な体系的な取り組みはされていません。仮に現在の日本で野生動物に同様な事が拡がれば、人も動物も犠牲が出る可能性が大きいと言えます。

狂犬病予防法の意義について。
ウイルス性伝染病が何故拡大するか?を考えれば自ずと導かれるます。
答えは、抵抗力を持っていない宿主(感染を受ける生き物)が居るからです。
既存のインフルエンザも含め、快復可能なウイルス性感染症は一度野外株に感染(普通に感染する事)すれば、健康な人なら約2週間後(犬、猫、も同じ)には弱いながらも抗体が出来上がります。2度目の感染では更に強い抗体が出来、反応してくれるのであまり発症に至らずに済みます。この免疫力を狂犬病に対して皆が保っていれば流行は防げます。
よって、『皆で抗体を保ち続けましょう。』と言うのが趣旨だと思って下さい。
そしてこの抗体なんですが、感染を受けて素早く反応出来る程の量と力は個体差が有りますが1年〜3年位らしいです。なので、清浄国を維持するためには犬の飼い主の皆さんのご協力が必要不可欠ですので、必ず集合注射やかかりつけの動物病院で接種してもらってください。なお日本では、猫への狂犬病ワクチン接種は行いませんが、海外では犬と同様に義務になっている国も有ります。

つづく。


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